上野東照宮は、東京都台東区上野恩賜公園内にある神社です。
徳川家康を祀り、その豪華絢爛な社殿は江戸初期の建築様式の粋を凝らしたもので、国の重要文化財に指定されています。
日光東照宮、久能山東照宮、芝東照宮と並び、四大東照宮の一つと称されています。
出世、勝利、健康長寿のご利益があるとされ、多くの人々が参拝に訪れています。
この記事は、上野東照宮の由緒・沿革、ご祭神・ご利益・パワースポット、見どころなどを詳しく紹介します。
上野東照宮 人気の理由
上野東照宮が人気を集める理由は、その歴史的な価値と秀麗な美しさにあります。
江戸幕府を開いた徳川家康を祀る神社であり、その豪華絢爛な装飾や建築様式は、当時の権力と文化の高さを物語っており、見る者の心を奪います。
また、上野公園という都心部でのアクセスのしやすさも、人気の理由の一つと言えるでしょう。
由緒と沿革
上野東照宮は、徳川家康を祀る神社として、江戸時代以降、数多くの歴史的な出来事に深く関わってきました。その由緒と主な沿革をご紹介します。
藤堂高虎による創建
1616年(元和2年)、徳川家康公は危篤に陥った際、枕元に天海僧正と藤堂高虎を呼び、家康の魂を鎮める場所を造るよう遺言されました。
天海僧正は、藤堂高虎の敷地内に東叡山寛永寺を開き、藤堂高虎はその境内に家康公を祀る東照社を1627年(寛永四年)に創建しました、これが上野東照宮の始まりです。
その後、1646年(正保三年)に朝廷より正式に「東照宮」の宮号を賜り、今日に至ります。
徳川家光による造営
日光東照宮を彷彿とさせる絢爛豪華な金色殿をはじめ、透塀や唐門といった見事な建造物は、3代将軍・徳川家光によって1651年(慶安四年)に造営されました。
これは、日光東照宮への参拝が困難であった江戸の人々のため、家康公を身近に感じられる場所として設けられたものでした。
造営に際しては、全国の大名から競うように奉納された約250基の灯籠が境内を彩り、その壮麗さは人々の心を捉えています。
江戸時代における上野東照宮
徳川将軍家は、上野東照宮を篤く信仰し、国家安泰や武運長久を祈願する場所として、定期的に参拝を行っていました。
また、徳川家康公の武運などにあやかり、多くの人々から出世開運や勝負運のご利益があると信仰されるようになりました。
さらに、上野東照宮周辺は、文人墨客が集まる文化の中心地でもありました。
幕末・明治維新以降
幕末の上野戦争(1868年7月4日、戊辰戦争の一つ)では、寛永寺などの建造物が消失した中、上野東照宮は戦火を免れ、江戸時代初期の姿を今も残しています。
上野東照宮は、もとは江戸時代初期に神仏習合に基づいて寛永寺の敷地に建てられた神社ですが、明治維新後の神仏分離令によって、仏教と繋がりの深いものを祀ることが禁じられたため一時衰退した時期があります。
大正・昭和以降~現在
上野東照宮は、1933年(昭和8年)、国の重要文化財に指定されました。
関東大震災、第二次世界大戦といった激動の時代を乗り越え、上野東照宮は奇跡的にその姿を留めています。
特に、金色殿は東京大空襲の際、至近距離に焼夷弾が投下されるという危機に見舞われながらも、難を逃れました。この強運は、家康公の御神徳のあらわれと人々に深く信仰されています。
春には牡丹や桜が咲き誇り、秋には紅葉が境内を染め上げます。また、初詣や冬牡丹の時期には多くの人々が訪れ、出世や健康長寿など、様々な願いを込めて祈りを捧げます。
江戸の人々の心のよりどころであった上野東照宮は、現代においても、その荘厳な姿と歴史的な背景から、多くの人々に安らぎと感動を与え続けています。
上野公園の一角に位置することから、国内外の観光客が訪れる人気の観光スポットとなっています。
重要文化財としての貴重な建築物として、現在も定期的な保存修理が行われています。
建築様式・構造・装飾
上野東照宮の社殿(別名、金色殿)は、江戸初期の建築様式である桃山様式を代表するもので、豪華絢爛な装飾が特徴です。
特に、金色に輝く壁や天井、彫刻は必見です。また、唐門や透塀など、様々な建築物が現存しており、当時の技術力の高さをうかがわせます。
上野東照宮の唐門にある龍の彫刻は、伝説の彫刻家・左甚五郎の作品と伝えられています。
唐門と金色殿の詳細と画像は後ほど紹介します。
主祭神と配祀神
主祭神は徳川家康です。
その他にも、徳川吉宗や徳川慶喜など、徳川将軍家の祖先をはじめ、複数の配祀神が祀られています。
主祭神
- 徳川家康(東照大権現):江戸幕府初代将軍
- 徳川吉宗:8代将軍
- 徳川慶喜:15代将軍、最後の将軍
配祀神
- 天海僧正:家康を深く信頼し、江戸幕府の基礎を築いた僧侶
- 藤堂高虎:上野東照宮を創建した津藩主
- 栄誉権現:御狸様とも呼ばれ、強運を授ける神様として信仰されています
ご利益・パワースポット
上野東照宮は、出世、勝利、健康長寿などのさまざまなご利益があるとされています。
特に、ビジネスマンや受験など、目標達成を願う人々から信仰を集めています。
ご利益
- 出世開運
徳川家康が天下統一を成し遂げたことから、出世や仕事運向上のご利益があるとされています。
ビジネスパーソンや受験生など、目標達成を願う人々から人気があります。 - 勝利
武将であった徳川家康にちなみ、勝負事の勝利を願う人々から信仰されています。
スポーツ選手や勝負を控えている人などが参拝に訪れます。 - 健康長寿
長寿を全うされた徳川家康にあやかり、健康で長生きしたいと願う人々から信仰されています。
ご家族の健康や長寿を祈願する人も多く参拝しています。 - 家内安全
家族の無事を願い、家内安全を祈願する人も多く訪れています。 - 厄除け
厄除けのご利益があるとされ、厄年を迎える人や、何かしらの災いを避けたい人々が参拝に訪れます。 - 学業成就
学問の神様として知られる菅原道真公を祀る摂社もあり、学業成就を祈願する人もいます。 - 交通安全
安全な旅を祈願する人もいます。
パワースポット
上野東照宮は、パワースポットとしても知られています。
特に、本殿裏手の神木は、そのパワフルなエネルギーを感じられるとされています。
上野東照宮の御朱印とお守り
社務所では、御朱印や様々な種類のお守りが授与されています。
今回は「御朱印 書き置き和紙」と「他抜(たぬき)御朱印書き置き和紙」を拝受してまいりました。
2種類とも初穂料は1枚500円です。
「ライトアップ限定御朱印」と季節限定「12月限定御朱印<師走>」も拝受できます。
上野東照宮の見どころ
上野東照宮 境内案内図
上野東照宮の入り口まで来たら、左手の境内案内図を確認しましょう。
上野公園側からの大石鳥居
大石鳥居
大石鳥居は、寛永10年(1633年)四月七日に前橋藩の第二代藩主の酒井忠世によって奉納されたものです。
鳥居の左側の柱の正面に奉納日、酒井忠世の名が刻まれています。
水舎門
石灯籠
水舎門をくぐると、表参道の左右に約250基の石灯籠が並んでいます。これらは上野東照宮の建立に際し、全国の大名たちによって奉納されました。
各石灯籠には各藩の家紋が刻まれており、どの藩による奉納かを見てみるのも面白いでしょう。
旧寛永寺五重塔
上野東照宮の五重塔ではありませんが右手の上野公園内に旧寛永寺五重塔が建っています。
この五重塔は、寛永8年(1613年)、老中の土井利勝により建てられたものです。
神楽殿
神楽殿は、明治7年(1874年)に深川木場組合が建立し奉納したものです。
銅灯籠
銅灯籠は、国指定の重要文化財です。社殿が完成した1651年に大名達が徳川幕府への忠誠心を示すために寄進しました。
49基の灯籠のうち、6基は唐門の横という栄誉ある場所を与えられており、徳川御三家の尾張家、紀伊家、水戸家から2基ずつ寄進されたものです。
唐門
上野東照宮の唐門は、社殿(金色殿)の正面に建てられた国指定重要文化財です。
将軍徳川家光が1651年に日光東照宮を模して建て替えられたものです。
唐門の特徴は、以下のとおりです。
- 13世紀に流行した曲線をつけた破風(はふ)を採用している
- 柱内外の四額面には、左甚五郎が彫った「昇り龍」と「降り龍」の彫刻があります。
- 上部の錦鶏鳥と銀鶏鳥の透彫は精巧で美しく、当時の技術を集大成したものとして高く評価されています。
- 内側の透彫には「諫鼓鳥(かんこどり)」の彫刻があり、徳川の治世が平和でありますようにという願いが込められています。
唐門の昇り龍と降り龍
名工、左甚五郎作の彫刻で、昇り龍は頭が下を向き、降り龍は頭が上を向いています。
偉大な人ほど頭を垂れる(立派な人ほど謙虚である、目下の者をも気にかける)ということから、頭が下を向いている方が昇り龍と呼ばれています。
毎夜、龍が不忍池の水を飲みに行くという伝説があります。
また、扉の両側の二本の柱の上部には阿吽の獅子形の獅子が彫られています。
金色殿(社殿)
金色殿の正面の彫刻には、鷹、牡丹、鳳凰が描かれています。
また、唐門と同様に金色殿の角には、阿吽形の獅子が彫られています(下の画像は阿形の獅子)。
金色殿の彫刻、唐門、格子戸はすべて「池彩敷き」という技法で彩色されています。これは、金箔を下塗りし、その上に岩絵具を塗る伝統的な豪華な彩色方法です。
また、文様は「置き明け彩敷き」という技法で彩色されています。これは、糊と白土を混ぜたものを盛り上げて、その上に色を塗る伝統的な豪華な彩色方法が採られています。
透塀(すきべい)
透塀は、金色殿(社殿)の周囲を取り囲む塀です。
木製の格子でできており、透かし彫りの装飾が施されており、神社の内部を隠しながらも、外部から神社の様子を垣間見ることができるように設計されています。
透塀は、江戸時代初期に建てられたもので、装飾は、動物や植物をモチーフにしたもので、同じ動植物であっても一つ一つ形が異なっており、非常に精巧に彫られています。
栄誉権現者(御狸様)
栄誉権現社(御狸様)は、江戸時代に大奥など安置された先々各所に災いをもたらしていましたが、大正年間に東照宮に寄贈されると転じて幸運をもたらすようになり、強運を授ける神様になったと伝わっています。
栄誉権現社は御狸様とも呼ばれており、他を抜く狸という縁起から強運開祖、受験・就職・必勝の神様として信仰されています。
毎年多くの受験生が合格祈願のお参りをされます。
お祭り・年間行事
上野東照宮では、一年を通して様々な祭事が行われています。特に、春季大祭は、多くの人々が参拝に訪れる盛大な行事です。
※開催日時は毎年変更になる場合があります。最新の情報は、上野東照宮の公式ホームページでご確認ください。
春のぼたん祭
ぼたん苑内の約500株の牡丹が咲き誇る、春の風物詩です、様々な品種の牡丹を楽しむことができます。
ぼてん苑は上野東照宮の表参道沿いにあります。
開催時期:4月中旬~5月上旬
例大祭
徳川家康を祀る例大祭。神輿渡御、舞楽奉納、流鏑馬神事、春のぼたん祭などが行われます。
開催時期:4月中旬
ダリア綾なす秋の園
色とりどりのダリアが咲き乱れる、秋の風物詩。
開催時期:9月下旬~10月上旬
冬のぼたん祭り
寒さに強い品種の牡丹が咲き、冬の庭園を彩ります。
開催時期:1月1日~2月中旬
アクセス&駐車場
・電話番号:
03-3822-3455(社務所)
03-3822-3575(ぼたん苑)
・駐車場:参拝者専用駐車場はありません
周辺駐車場も混みますので公共交通機関がおすすめ
・アクセス:
(電車を利用)
JR上野駅公園口から徒歩10分
京成上野駅から徒歩12分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅から徒歩10分
周辺観光スポット
上野東照宮周辺での、主要な観光スポットは以下の通りです。
などなど、他にも多くの観光スポットがあります。
記事のまとめ
上野東照宮は、歴史と文化を感じることができる貴重な場所です。その豪華絢爛な社殿や、出世のご利益を求めて多くの人々が訪れます。上野公園を訪れる際には、ぜひ上野東照宮にも足を運んでみてください。
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