東京都府中市日新町に鎮座する「日新稲荷神社」。住宅街の中に静かに佇む神社ですが、実は「谷保天満宮発祥之地」の石碑が建てられている非常に歴史深いスポットです。
菅原道真公の三男・道武公がこの地に天満宮を創建したと伝えられ、多摩川沿いの歴史と深く結びついています。本記事では、日新稲荷神社の由緒やご祭神、境内の見どころ、アクセス方法まで詳しくご紹介します。
日新稲荷神社の由緒・歴史
日新稲荷神社(にっしんいなりじんじゃ)が鎮座するこの地は、かつて多摩川沖積地の微高地の一つであり、「天神島(てんじんじま)」と呼ばれていました。
社伝および境内の石碑によると、延喜元年(901年)、菅原道真公が太宰府に左遷された際、その三男である菅原道武公(みちたけこう)がこの天神島の地に配流(島流し)となりました。その後、父・道真公の訃報を聞いた道武公が、自ら父の尊像を彫刻して祀ったことが、現在の谷保天満宮の起源であり発祥の地とされています。
鎌倉時代初期の養和元年(1181年)、道武公の子孫であり源頼朝の家臣・津戸三郎為守(つのとのさぶろうためもり)によって、社殿は現在の国立市谷保(谷保天満宮)へと遷座されました。
遷座後、この旧地には稲荷神社が祀られるようになり、地域の鎮守として大切に維持されてきました。現在毎年11月3日に谷保天満宮で行われる伝統神事「庭燎祭(おかがら火)」は、この天神島から現在地への遷座を記念するものと伝えられています。
谷保天満宮の詳細については下記のまとめ記事をお読みください。

日新稲荷神社のご祭神
倉稲魂命(うかのもたまのみこと)
稲荷神社の主祭神であり、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全などを掌るお稲荷様として広く信仰されています。
※現在お祀りされているのはお稲荷様(倉稲魂命)のみです。菅原道真公は1181年に現在の谷保天満宮(国立市)へ遷座されたため、当神社のご祭神からは外れていますが、創建のゆかりから天神様(学業成就)の縁起も残る地となっています。
日新稲荷神社のご利益・ご神徳
- 商売繁盛・事業繁栄
- 五穀豊穣
- 家内安全
- 学業成就・合格祈願(谷保天満宮発祥の地に由来する縁起)
お稲荷様としての商売繁盛・家内安全のご利益はもちろんのこと、菅原道真公(天神様)をお祀りした最初の地であることから学業成就や合格祈願の御神徳も残っているとされています。
ご利益の口コミ・体験談
- 「谷保天満宮の参拝後に発祥の地と聞いて訪れました。住宅街の中にひっそりと佇む静かな神社で、歴史のロマンを感じながら落ち着いてお参りできました。」
- 「小さな神社ですが、境内がきれいに手入れされており、地域の方々に大切にされているのが伝わってきます。静かに手を合わせたいときにおすすめの場所です。」
日新稲荷神社の見どころ
社殿

境内に佇む社殿は、全体が鮮やかな朱色で塗られており、青空や周囲の緑に美しく映える存在感があります。参道から社殿に向かって朱色の鳥居が連なるように建ち並び、稲荷神社ならではの雰囲気を醸し出しています。

正面に掲げられた扁額には「氏子中 稲荷神社」と大きく刻まれており、かつて天満宮が遷座した後も、地域の氏子の方々によって大切に守り継がれてきた歴史を感じることができます。
谷保天満宮発祥之地 碑

谷保天満宮発祥之地が刻まれている
注目すべき見どころが、この「谷保天満宮発祥之地」と刻まれた石碑です。碑文には、この地がかつて多摩川沿いの「天神島」と呼ばれていたことや、道武公による天満宮の創建、養和元年の遷座、そして谷保天満宮の「庭燎祭」との関わりなどが詳しく記されています。

裏側には詳細文が刻まれている
石碑の裏側には以下の文章が刻まれています。
この地はもと天神島と言われ、多摩川沖積地の微高地の一つである。
現在国立市に鎮座する谷保天満宮は、当初、菅原道真公の三男道武公によりこの天神島の地に創建されたものと伝えられる。
その後この天満宮は鎌倉時代の初め養和元年(1181)に津戸三郎為守により、国立市谷保の現在地に遷座された。
現在毎年十一月三日に行われている谷保天満宮の庭燎祭(おかがら火)の神事は、これを記念するものといわれている。
御朱印とお守り
日新稲荷神社には社務所がなく、無人の神社となっているため、御朱印の授与・頒布は行われておりません。
祭典・年間行事
例大祭:秋頃(地域の行事として実施)
※谷保天満宮で毎年11月3日に行われる「庭燎祭(おかがら火)」は、日新稲荷神社の地(天神島)からの遷座を記念する神事です。
基本情報
【住所】東京都府中市日新町2-20-8
【電話番号】なし(社務所無人)
【参拝時間】自由(境内自由)
【祈祷受付時間】なし
【ご祭神】倉稲魂命(うかのもたまのみこと)
【境内社・末社】なし
【ご利益】商売繁盛、家内安全、五穀豊穣、学業成就
【公式サイト】なし
日新稲荷神社へのアクセス・駐車場
電車・バスでのアクセス
JR南武線「西府駅」より徒歩約15分
JR南武線・武蔵野線「府中本町駅」または京王線「府中駅」より京王バス乗車、「日新町二丁目」バス停下車 徒歩約3分
車でのアクセス
中央自動車道「国立府中IC」より約5分
駐車場
日新稲荷神社には専用駐車場はありません。
お車でお越しの際は、近隣のコインパーキングをご利用いただくか、公共交通機関でのアクセスをおすすめします。
日新稲荷神社から谷保天満宮へのアクセス
日新稲荷神社(発祥の地)から谷保天満宮(現在の鎮座地)までは、約1.5km〜1.8kmほどの距離に位置しており、あわせて巡拝するのもおすすめです。
徒歩の場合:約20分
府中市日新町の住宅街から府中街道・甲州街道方面(国立市谷保)へ向かう平坦な道のりです。散策を兼ねた徒歩移動にも適しています。
車の場合:約5分〜7分
都道14号(東八道路や府中街道経由)を利用してすぐの距離です。
記事まとめ
東京都府中市日新町に鎮座する「日新稲荷神社」は、一見すると住宅街の中にある小さな稲荷神社ですが、東日本最古の天満宮である「谷保天満宮」が最初に創建された「天神島」の跡地という特別な歴史を持っています。
境内に立つ「谷保天満宮発祥之地」の石碑を辿ることで、菅原道真公の子供である道武公の伝説や、多摩川沿いの歴史の移り変わりを感じることができます。谷保天満宮へ参拝される際や、府中市内の歴史散策の際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

