白山神社は東京都文京区五丁目に鎮座しています。
都営地下鉄線の白山駅に近く、白山神社の北側すぐのところに東洋大学の白山キャンパスがあります。
東京十社の一つで由緒と格式がある神社です。
「はくさんさま」とも呼ばれており、6月には約3000株の紫陽花が咲き乱れる名所であり、富士塚があることでも知られています。
この記事では、白山神社の御朱印、ご利益、由緒・歴史、見どころなどを紹介します。
白山神社の由緒・沿革
天暦2年(948年)、加賀国の白山比咩神社から勧請を受け、武蔵国豊島郡本郷元町(現在の本郷1丁目)に創建されたのが始まりとされています。
元和年間(1615年-1624年)将軍徳川秀忠の命で、巣鴨原(現 小石川植物園内)に遷座、さらに、明暦元年(1655年)、館林藩主徳川綱吉(後の5代将軍)の屋敷が作られることになったため、現在地に再遷座しました。
綱吉とその母桂昌院の崇敬を受け、以降、江戸時代において徳川将軍家から篤く信仰されました。
明治初期には、准勅祭社に指定されるなど、その地位を確立し、昭和50年(1975年)から東京十社の一つに指定されており、格式が高い神社として認められています。

白山神社のこ祭神
- 菊理姫命(くくりひめのみこと)
- 伊弉諾命(いざなぎのみこと)
- 伊弉冊命(いざなみのみこと)
白山信仰を中心とする白山神社は、全国的にも菊理姫命を主祭神としていることがほとんどです。
加えて、伊弉諾命と伊弉冊命もご祭神とすることが多いです。
白山神社のご利益
以下のご利益があるといわれています。
- 縁結び・良縁
- 夫婦円満
- 復縁
- 事業創出
- 事業安泰
- 商売繁盛
- 商談成立
- 厄除け
など幅広いご利益があるといわれています。
菊理媛命(くくりひめのみこと)は、日本の神話に登場する女神で、イザナギノミコトとイザナミノミコトの夫婦の神が、国作り中に争いを起こした際に、その仲を取り持ったとされています。
このことから、菊理媛命は縁結びや良縁などの神様として信仰されています。
また、伊弉諾命と伊弉冊命は、日本神話において国土を創ったとされる非常に重要な神々で、事業創出や事業安泰、商売繁盛、商談成立、厄除けなどのご利益があるとされています。
白山神社の見どころ
白山神社は、静かな雰囲気に包まれ、派手さはなく控えめな神社です。
こじんまりとした境内ですが、社殿や末社、あじさいや桜など四季折々の花々など、ゆっくりと散策すれば、新たな発見があるかもしれません。
拝殿・本殿

多くの人で賑わっていました(週末午後に参拝)
現在の社殿は明治32年(1899年)に造営され、昭和8年(1933年)に改修されたものです。
社殿の様式は白木造りです。東京十社の社殿は丹塗り(朱色塗り)が多く、白木造りは白山神社、芝大神宮と王子神社だけです。
扁額の白山神社の左に「田代其次 敬書」とあります。
この扁額に彫られている文字は、書家の田代其次(田代秋鶴 1883-1946)が書いたものです。
敬書とは、謹んで書きましたという意味です。
田代秋鶴は白山神社から近い伝通院付近に住んでいたので、この扁額にも関っていることから、白山神社を信仰していたと考えられます。
拝殿の正面上には龍の彫刻、その上には風神が彫られています。

向拝に彫られている獅子(左側)
向拝の海老虹梁の付け根の左右には獅子が彫られており、社殿を守っています。
拝殿の脇障子にも素晴らしい彫刻があります、その他にも美しい彫刻が随所に見られます。

脇道を通り抜けると左手に本殿
拝殿の右脇の道を抜けていくと左側に本殿が現れます。
右側の建物は社務所です、渡り廊下で拝殿と繋がっています。

本殿は拝殿の裏手から見えます
本殿の建築様式は定かではないですが、神明造りのような形で、横からは左右対称の切妻で、先端にかけて非常に緩やかな曲線があります。
拝殿前の狛犬
白山神社の狛犬は金色の目をしており、非常に珍しい狛犬です。
阿形の狛犬は宝珠型で、頭の上には角ではなく宝珠がついています。
開いた口の舌は朱色であり、なんとなく吠えているようにも見えます。
鳥居(東参道)
境外からはこの鳥居一か所だけです。
この鳥居は笠木と島木の端が斜め上向きのなので「八幡鳥居」という様式のようです。
白山旗桜(白旗桜)

出典:桜日和 手水舎横の白旗桜
白山神社の境内には、江戸三大桜の一つに数えられている「白旗桜」が二本あります。
一つは手水舎の隣(上の画像)、もう一つは境内にある八幡神社の前にあります。
その名の通り、花弁は白く、一部の花びらが長く伸びては旗のように見えるのが特徴です。

出典:桜日和 八幡神社の前にある白旗桜
平安時代に八幡太郎義家が奥州平定の際、白旗桜に旗を立てかけて戦勝を祈願したという伝説が残っているようです。
残念ながら、かつての元の白旗桜は枯死してしまい、現在はその後継の白旗桜が春には満開となります。
手水舎
社務所の向かい側に手水舎があります。左側に見える木が白旗桜です。
岩から姿を見せている珍しい龍で、全体の構図に迫力があります、この岩は富士山噴火による溶岩です。
動画をご覧ください。
手水舎の前に立つと自動的にお水が出てきて自動的に止水します、節水にも役立つので感心です。
白山神社の摂社・末社
白山神社の境内には摂社・末社として、以下の神社が祀られています。
- 関東松尾神社
- 稲荷神社
- 八幡神社
- 浅間神社
関東松尾神社
江戸時代に、京都の松尾大社から勧請されたものです。
【御祭神】
- 大山咋神(おおやまぐいのかみ)
- 中津島姫命(なかつしまひめのみこと)
中津島姫命は、宗像三女神の一角をなす市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)の別名です。
松尾神社は酒造りの神としても信仰を集めてきたため、関東松尾神社には多くの酒樽が奉納されています。
奉納されている清酒 南郷は、福島県東白川郡にある矢澤酒造店が作っている日本酒です。
多くの品評会で最優秀賞などを受賞しているメーカーです。
矢澤酒造店の矢澤社長様は、隣町の小石川出身で、ご信仰心から酒樽を奉納されています。
八幡神社
八幡神社は、参道に向かう左手にあります。
【ご祭神】
- 誉田別命・姫命(八幡信仰の神)
- 八幡太郎義家
八幡神社の由来は、第70代の冷泉天皇の時代に遡ります。
八幡神社の白旗桜の由来
永承6年(1051年)4月、陸奥の安倍頼時の征伐のため、源頼義とその嫡男、八幡太郎義家が奥州街道を通っていく途中の白山の地で、二人が危うく敵方によって焼き殺されそうになりました。
その時、二人はこの八幡神社前にあった桜木に旗を立てかけ、石清水八幡宮に祈願したところ敵を討伐することができたと伝えられています。その桜木こそが、この八幡神社にある「白旗桜」だといわれています
なお、現在の八幡神社の白旗桜は当時のものではなく、同じ場所の何代目かの桜です。
浅間神社と富士塚

出典:古墳なう
社殿の奥には、富士山を御神体として祀る浅間神社があり「富士塚」があります。
この富士塚は、実は古墳であったという説があります。
大正5年に民俗・考古学者の鳥居龍蔵が調査して発見した古墳のようで、同氏は自身の著書の中で「小石川の白山神社の境内に行った。そこにはお富士山とする小高い所があって、これも正しくは古墳である」と指摘しています。
一方、浅間神社の富士塚の麓には石碑があり、そこには「文政五壬牛歳五月吉祥日造立」と刻まれており、文政5年(1822年)に富士塚が築かれたことを示しており「白山富士」と呼ばれていました。
この白山富士は高さ約5m、富士塚として極めて低く、他の多くの富士塚で見られるような溶岩などが用いられていなく、「何合目」と記した石碑が建っているわけでもないです。
そのため、富士塚に上ることで、富士山に実際に登ったのと同じご利益がると言われていますが、白山富士だとそのような実感は乏しく、富士塚と言われなければ盛り土のようにしか見えないかもしれません。
白山神社の文京あじさいまつり
- 開催時期:毎年6月上旬の土曜・日曜日
- 会場:白山神社
- お問合わせ:文京区観光協会(03-3811-3321)
文京あじさいまつりは、昭和60年度から白山神社で開催されています。
毎年6月の梅雨の時期になると、白山神社の境内や隣接する白山公園には約3000本の色とりどりの紫陽花が咲き誇ります。
文京あじさいまつりの期間中、富士塚は特別に午前10時から午後4時まで公開されます。
特に土曜日と日曜日には多彩なイベントが行われ、多くの模擬店、子供紫陽花写生会、文京花まつり探検ラリーなど多くの催しで賑わいます。
日曜日には、歯痛止めの信仰で知られる白山神社で歯ブラシ供養が行われ、歯の健康祈願祭、歯科相談コーナーなど、訪れる人々にとって特別な体験となります。
白山神社の御朱印
初穂料は300円、書置きだけです。
以前は御朱印帳への直書きもありましたが、現在は書置きのみです。
御朱印をもらえる場所・時間
御朱印は、社殿右隣の社務所にていただけます。
10時~16時、火曜定休日。
ガラス張りの窓口に人がいなければインターホンで呼び出しましょう。
御朱印を拝受いたしました。
右上には文京区の小石川に鎮座していること、中央には社判、右下には「元准勅祭社」とあり、東京十社の元になった准勅祭社であったことを表しています。
毎週火曜定休日のときは、参拝証としてスタンプが用意されているので御朱印帳に押印できます。
すでに頂いている御朱印がある場合、御朱印帳の片方のページに貼ってもう片方のページにスタンプを押してみるのも面白いでしょう(次回、これにトライするつもりです)。
限定御朱印・オリジナル御朱印帳
授与されていません。
白山神社の基本情報
【所在地】東京都文京区白山5丁目31-26
【電話】 03-3254-0753
【交通アクセス】
東京メトロ丸ノ内線「白山駅」より徒歩3分
東京メトロ南北線「本駒込駅」より徒歩5分
【拝観時間】 常時 年中無休
【ご祭神】
・菊理姫命(菊理姫大神)
・伊弉諾尊
・伊弉冉尊
【ご利益】
・学業成就
・合格祈願
・縁結び
・安産
・厄除け など多数
【文京区サイト】 https://www.kandamyoujin.or.jp/
白山神社へのアクセス・最寄り駅
最寄り駅:白山駅からの徒歩ルート
最寄り駅:本駒込駅からの徒歩ルート
白山神社の駐車場
白山神社は参拝者専用駐車場が用意されており、収容台数は約30台です。
白山神社 記事まとめ
いかがでしたでしょうか。
白山神社は、白山信仰が土台となっている神社であり、徳川将軍家からも崇敬を受けた、元准勅祭社で東京十社の一つとなっている歴史が長い神社です。
縁結びや良縁、商売繁盛や事業安泰など多くのご利益があるとされており、白旗の桜、あじさいなど四季折々の花が咲き誇り、境内の末社や富士塚などの見どころは多いです。
都会にいながら、都会の喧騒を藩れることができる、静寂に包まれた白山神社で、リラックスした時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
徒歩15~20分のところには東京十社の一つである根津神社があり、そちらにもぜひ足を運んでみてください。

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