日本神話の中心にして、太陽を象徴する最高神、それが天照大御神(あまてらすおおみかみ)です。
伊勢神宮の内宮に祀られ、皇室の祖神としても知られるこの神様は、光と秩序をもたらす存在として古代から深く信仰されてきました。
本記事では、天照大御神の読み方・神格・ご利益・神話エピソード・祀られている神社までをわかりやすく解説します。
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読み方と別名
正式表記:天照大御神(あまてらすおおみかみ)
別名:天照大神(あまてらすおおかみ)、大日孁貴(おおひるめのむち)、日神(ひのかみ)、伊勢大神など
古事記では「天照大御神」、日本書紀では「天照大神」「大日孁尊」などと記され、神社によって呼び方が異なります。
なんの神様?ご利益は?
天照大御神は、太陽神・皇祖神・機織神・農業神など多面的な神格を持ち、宇宙の秩序と調和を司る存在として信仰されています。
主なご利益
- 国家安泰・家内安全
高天原の主神として、国の平和と秩序を守る力 - 開運招福・厄除け
天岩戸から再び光をもたらした神話に由来 - 商売繁盛・五穀豊穣
太陽の恵みと農業神としての側面 - 心願成就・精神安定
光の神として、心を照らす存在
天照大御神、何をした?
天照大御神は何をしたのか人なのか、古事記と日本書記の両方に記述されている有名なエピソードを紹介します。
誕生と高天原の統治
伊邪那岐命が黄泉の穢れを祓うために禊をした際、左目から生まれたのが天照大御神と言われています。
その神々しい光により、父は「高天原(たかまがはら)を治めよ」と命じます。
こうして天照大御神は、天上界の主神として君臨することになります。
スサノオとの誓約と乱行
弟・須佐之男命が高天原に昇ってきた際、天照大御神は潔白を証明するため「誓約(うけひ)」を交わします。しかし、須佐之男命は乱暴を働き、田畑を荒らし、機織殿に馬を投げ込むなどの暴挙を繰り返します。
ひきこもり(天岩戸隠れ)

天岩戸が開いて天照大御神が出てきた
高天原を治める天照大御神は、秩序と光の象徴でした。
弟・須佐之男命の乱暴は次第に度を越し、ついには天照大御神が神衣を織っていた神聖な織殿(おりどの)に、皮を剥いだ馬を投げ込むという暴挙に及びます。
その場にいた神女は命を落とし、神事の場は穢され、天照大御神の心は深く傷つきました。
「もう、光を届ける必要はないのか…」
そう言って、天岩戸と呼ばれる洞窟にひきこもります。天照大御神が身を隠してしまうと、世界は闇に包まれ、神々は困り果てます。
八百万の神々が天安河原に集まり、知恵の神・思金神の策で、鏡・勾玉・祝詞・舞を用いた儀式が始まります。芸能の神・天鈿女命が岩戸の前で踊り、神々が笑い出すと、天照大御神は岩戸を少し開けて外を覗きます。その瞬間、鏡に映った自分の姿に驚き、さらに身を乗り出したところを、力の神・天手力男命が岩戸を開きます。
こうして、天照大御神は再び姿を現し、世界に光が戻ったのでした。
この神話は「喪失と再生」「闇と光」の象徴であり、厄除け・開運・芸能成就のご利益として今も信仰されています。
国譲りと天孫降臨
天照大御神は、地上を治めていた大国主神に国を譲るよう命じました。
建御雷神らを使者として派遣し、大国主神から国譲りを実現させます。
その後、孫の邇邇芸命(ににぎのみこと)を地上に降ろし、三種の神器とともに統治を始めさせます。
この流れは、皇室の祖神としての天照大御神の位置づけを強く示すものです。
天照大御神を祀る代表的な神社
- 伊勢神宮 内宮(皇大神宮)(三重県伊勢市)
天照大御神の総本社。日本人の「心のふるさと」とも呼ばれる聖地。 - 天岩戸神社(宮崎県高千穂町)
天岩戸伝説の舞台。岩戸そのものが御神体とされる。 - 神明神社(全国各地)
「神明造」と呼ばれる伊勢神宮に倣った社殿形式で、天照大御神を祀る全国各地の神社。 - 皇大神社|京都府宮津市
元伊勢とされる古社。伊勢神宮以前に天照大御神が祀られていたと伝わる。 - 東京大神宮(東京都千代田区)
伊勢神宮の遥拝所として創建された神社。縁結びのご利益で若い参拝者に人気。
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この記事のまとめ
天照大御神は、光と秩序をもたらす日本文化での最高神です。
天照大御神は、太陽のように世界を照らし、秩序と調和をもたらす神様です。その神話は、怒り・隠れ・再生という人間的な感情を含みながらも、最終的には「光が戻る」希望の物語として、明るい未来を象徴する存在として、現代にも深く響いています。