東京都立川市砂川町に鎮座する「阿豆佐味天神社(あずさみてんじんじゃ)」は、1626年(寛永3年)にこの地が開発された際、村の氏神として創建された400年以上の歴史を持つ古社です。
厳かな空気が漂う境内には、安産や子授けのご利益で名高い「立川水天宮」が合祀されているほか、迷子になった愛猫が戻ってくるという「猫返し神社(蚕影神社)」としても全国の愛猫家から篤い信仰を集めています。
今回は、実際に阿豆佐味天神社・立川水天宮を参拝した筆者が、現地の厳かな雰囲気や境内の見どころ、授与していただける御朱印やお守り、アクセス方法までを詳しくレポートします。これから参拝を予定している方は、ぜひ参考にしてください。
阿豆佐味天神社・立川水天宮の由緒と歴史

阿豆佐味天神社:1626年創建、砂川の地を見守る鎮守の神

東京都立川市砂川町に鎮座する「阿豆佐味天神社(あずさみてんじんじゃ)」の歴史は、江戸時代初期にまで遡ります。
当時、この砂川周辺の地域は「新田開発(しんでんかいはつ)」によって熱心に切り拓かれている最中でした。寛永6年(1629年)頃、新しく拓かれた砂川の地を見守るための鎮守(氏神)として、村山郷殿ヶ谷(現在の西多摩郡瑞穂町)に鎮座する延喜式内社「阿豆佐味天神社」の本宮より神様が勧請(かんじょう)されたのが始まりです。それ以来、400年以上の長きにわたり、砂川の村の発展とそこで暮らす人々の営みを静かに見守り続けてきました。

阿豆佐味天神社で祀られている主な御祭神は、以下の二柱の神様です。
- 少彦名命(すくなひこなのみこと):国造りの協力神であり、特に「医薬・健康・知恵」を司る神様として篤く信仰されています。
- 天児屋根命(あめのこやねのみこと):言霊(ことだま)の神、また「文学・芸術」の神様として知られています。
新田開発という過酷な開拓の時代において、人々の命を支える「医療や健康」、そして日々の暮らしを豊かにする「知恵や文化」の神様を祀ることは、村人たちにとって最大の心の拠り所でした。激動の歴史を経てなお、緑豊かで厳かな境内には、当時から変わらない地域への祈りと歴史の重みが息づいています。
阿豆佐味天神社と立川水天宮のご利益
阿豆佐味天神社および境内社の立川水天宮でお祀りされている御祭神のそれぞれの主なご利益(御神徳)は以下の通りです。
阿豆佐味天神社(本殿)のご利益
- 少彦名命(すくなひこなのみこと)のご利益
健康祈願、病気平癒、医薬・温泉の神、産業繁栄
日本神話において大国主神とともに国造りを行った神様で、医薬や酒造、知識の神として知られます。病気平癒や健康長寿の祈願で深く信仰されています。 - 天児屋根命(あめのこやねのみこと)のご利益
学問成就、出世開運、家内安全、諸願成就
祝詞(のりと)を司る言語・智慧の神であり、藤原氏の祖神としても有名です。学業成就や開運のご利益があるとされています。
立川水天宮(境内社)のご利益
水天宮には天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)、安徳天皇(あんとくてんのう)、建礼門院(けんれいもんいん)、二位の尼(にいのあるじ)が祀られており、それぞれのご利益は以下の通りです。
- 天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)のご利益
安産祈願、子授け(宝子祈願)、開運招福、事業繁栄、全般的な諸願成就
「古事記」において、宇宙が誕生した天地開闢(てんちかいびゃく)の際に最初に現れた「造化三神(ぞうかさんしん)」の最高神です。すべての神々の根源であり、生命の誕生や宇宙の万物を司る絶対的な存在とされています。
水天宮においては、命を授かり無事に出産を迎えるという生命の根本に関わる神として、安産や子授けの厚い信仰を集めています。 - 安徳天皇(あんとくてんのう)のご利益
子育祈願、児童の健やかな成長(無病息災)、水難除け、初宮参り・七五三の祈願
第81代天皇で、高倉天皇と建礼門院(平徳子)の間に生まれた幼帝です。わずか8歳(数え年)で壇ノ浦の戦いに伴い海へ入水されました。
幼くして神となった存在であることから、子供たちの健やかな成長を見守り、怪我や病気、水の事故から守ってくださる「子供の守護神」として深く信仰されています。 - 建礼門院(けんれいもんいん)のご利益
母体安全、女性の健康祈願、子育て・家庭円満、女難除け
平清盛の娘(平徳子)であり、高倉天皇の中宮、安徳天皇の生母(国母)です。壇ノ浦の戦いで一族とともに入水したものの助け上げられ、その後は大原の寂光院で我が子と平家一族の菩提を静かに弔い生涯を終えられました。
自ら命がけで我が子を出産し、母として深く愛した悲劇の歴史から、母体の安全や女性の健康、我が子の幸せを祈る母親たちの強い拠り所となっています。 - 二位の尼(にいのあるじ)のご利益
水難除け、家内安全、厄除け、航海・交通安全
平清盛の正室(平時子)であり、安徳天皇の祖母にあたる人物です。壇ノ浦の合戦で追い詰められた際、幼い安徳天皇を抱き「波の底にも都の候ぞ(海の底にも都がございます)」と慰め、三種の神器とともに海に入水されました。
別名「尼御前(あまごぜん)」とも呼ばれ、水に縁の深い神(尼御前大明神)として古くから水難除けや渡航安全のご利益があるとされています。
阿豆佐味天神社の見どころ
本殿:立川市内最古の木造建築!江戸中期の歴史を伝える有形文化財

手前が拝殿、右奥が本殿
境内の奥深く、拝殿の背後に鎮座する「阿豆佐味天神社 本殿」は、昭和45年(1970年)に立川市の有形文化財に指定された、立川市内最古の現存する木造建築物です。
この本殿は、残された棟札(むなふだ)などの記録から、元文3年(1738年)頃、あるいは宝永5年(1708年)の建築・再建であると考えられています。
古くから大切に護られてきたこの本殿は、昭和55年(1980年)に改修工事が行われ、現在の高い基壇(きだん)の上へと移設されました。同時に、御鎮座390年を記念した木部の補修と彩色塗装(令和元年12月)も施され、当時の美しさを今に伝えています。
建築様式は「一間社流造(いっしゃながれづくり)」と呼ばれる神社建築の正統なスタイルで、正面には優美な曲線を描く「軒唐破風(のきからはふ)」が付き、屋根は「千鳥破風(ちどりばふ)」をあしらった「こけら葺き」で仕上げられています。
現在は、経年劣化や風雨から貴重な文化財を保護するため、拝殿後方に設けられた白い「覆殿(おおいでん)」の中に格納されており、外側からその全貌を直接見ることはできませんが、近郷に類を見ないその豪壮かつ繊細な造りと彩色は、江戸時代中期の優れた大工技術の粋を集めたものと絶賛されています。
拝殿:総けやき造りに息づく名工の技と瑞獣たちの木彫

拝殿の意匠:総けやき造りの社殿を彩る立体的な木彫の魅力
天保10年(1839年)に着工し、文久2年(1862年)に竣工した拝殿は、近郷に類を見ない総けやき造りの豪壮な建造物です。参拝者が手を合わせる向拝(こうはい)部分には、江戸時代末期の高い大工技術の粋を集めた緻密な彫刻が施されています。なお、これほど見事な彫刻を手掛けた具体的な作者(彫刻師)の名は境内の案内板には明記されていませんが、当時の多摩地域で活躍した名だたる名工の手によるものと推測される、非常に芸術性の高い仕上がりです。
拝殿の龍:中央で鋭い眼光を放ち圧倒的な存在感を放つ龍の彫刻

2025年12月6日参拝晴天時の拝殿の龍の木彫
正面中央の梁の上部(中備・なかぞえ)には、今にも雲を呼んで飛び立ちそうなほど躍動感あふれる「龍(りゅう)」の彫刻が施されています。特に印象的なのは、金色に縁取られた見開いた鋭い眼光です。深く立体的に彫り込まれた鱗(うろこ)や髭、力強くうねる身体は、総けやき造りの重厚な木肌と見事に調和しており、社殿全体に神聖で引き締まった風格を与えています。
拝殿の木鼻:社殿を全方位から護る獏と唐獅子の精巧な彫刻

2025年12月6日参拝晴天時の拝殿の龍と木鼻の木彫
柱の突き出た先端部分(木鼻・きばな)には、社殿に邪気が入るのを防ぐために、それぞれ異なる瑞獣(神聖な動物)が立体的に彫り出されています。
- 獏(ばく):象のように長く伸びた鼻と突き出た牙が特徴的です。人の「悪夢」を食べ、疫病や邪気を払って平穏をもたらすとされる想像上の瑞獣です。
- 唐獅子(からじし):美しい巻き毛と力強い四肢が特徴的です。古くから獅子吼(ししく)によって魔を払い、聖域を護る魔除けの象徴として格式高い神社仏閣に用いられています。
中央の龍とともに、これらの動物たちが睨みを利かせるように配置されており、当時の職人が木目を巧みに計算しながら命を吹き込んだことが伝わる、隠れた大きな見どころとなっています。
立川水天宮:多摩地域で広く信仰される安産・子授けの聖地

阿豆佐味天神社の境内に美しく鎮座し、多摩地域全域から篤い崇敬を集めているのが「立川水天宮(たちかわすいてんぐう)」です。古くから「安産・子授けの守り神」として名高く、人生の節目を迎える多くのご家族が祈りを捧げに訪れます。

立川水天宮に祀られている御祭神は、総本宮である福岡県久留米市の水天宮と同様に、以下の四柱の神々です。
- 天之御中主大神(あめのみなかぬしのおおかみ):宇宙の根源であり、万物を生み出す最高の神様。
- 安徳天皇(あんとくてんのう):平氏ゆかりの幼帝であり、水にまつわる神聖な守護神。
- 建礼門院(けんれいもんいん):安徳天皇の母であり、我が子を想う母性の象徴。
- 二位の局(にいのおつぼね):安徳天皇の祖母であり、深く力強い守護をもたらす神様。
この四柱の神々は、特に水難除けや、生命の誕生・成長に深く関わるご神徳を持つとされています。そのため、多摩地域における臨時の「水天宮」として広く知れ渡り、新しい命を授かりたいと願うご夫婦や、無事な出産を祈るプレママ、そして無事に生まれた子供の健やかな成長(初宮参り・七五三)を願う参拝客が、日々途切れることなく足を運びます。
江戸時代初期からこの地を護る阿豆佐味天神社の厳かな空気と、生命の誕生を温かく見守る立川水天宮の慈悲深い信仰がひとつの境内に融合しているからこそ、ここは訪れる人々に格別な安心感と癒やしを与えてくれる聖地となっています。
立川水天宮の「豊之泉」

立川水天宮の手前には、しめ縄で大切に囲まれた「豊之泉(とよのいずみ)」があります。参拝用の手水ではなく、神聖な御神水をお祀りする霊泉です。
石鉢のふちには、縁起物である「犬張子(いぬはりこ)」の愛らしい石像がちょこんと乗せられています。お産が軽く多産な犬(戌)は、古くから安産や子宝、子供の健やかな成長を守る象徴です。安産・子育ての神様である立川水天宮ならではの、微笑ましい見どころとなっています。
「豊之泉」という名には、水の恵みと新しい命や家族の豊かな幸せへの祈りが込められています。
蚕影神社(猫返し神社):全国の愛猫家が集う社

阿豆佐味天神社の境内右手にそっと佇む「蚕影神社(こかげじんじゃ)」は、古くから「養蚕(ようさん)の神」としてこの地で祀られてきました。かつて砂川周辺で養蚕が盛んだった頃、蚕を食べてしまうネズミを駆除してくれる猫は、養蚕の営みを支える守り神として非常に大切にされていた歴史があります。
この歴史が現代に引き継がれ、今では迷子になった愛猫が戻ってくる「猫返し神社」として全国から非常に多くの参拝客が訪れる聖地となりました。ジャズピアニストの山下洋輔さんが参拝した直後に、行方不明だった愛猫が奇跡的に帰ってきたという有名なエピソードをきっかけに広く知られるようになり、現在も愛猫の無事や健康を願う人々にとっての特別な祈りの場となっています。
9つの神様、社が合祀されている

蚕影神社(猫返し神社)の境内には、様々なご利益を持つ神々が合祀されており、現地の案内板には以下の神々が紹介されています。
- 蚕影神社(こかげじんじゃ):養蚕の神、猫返し神社
- 八雲神社(やくもじんじゃ):厄除け
- 疱瘡社(ほうそうしゃ):疫病除け、縁結び
- 稲荷社(いなりしゃ):五穀豊穣、招福財福
- 天神社(てんじんじゃ):学問
- 御嶽神社(みたけじんじゃ):火難盗難除け
- 浅間神社(せんげんじんじゃ):縁結び
- 金刀比羅神社(ことひらじんじゃ):交通安全
- 八坂大神社(やさかだいじんじゃ):疫病除け
案内板に「いろいろな神様がいらっしゃいます ゆっくりとおまいりください」と優しく書かれている通り、蚕影神社での愛猫への祈りと合わせて、日々の暮らしの平安や良縁を願いながら、一つひとつの社へ静かに手を合わせたくなる厳かな空間が広がっています。
ただいま猫:愛猫の無事と健康を祈る可愛らしい猫の石像

蚕影神社のすぐ前に安置されているのが、御影石で作られた「ただいま猫」の石像です。少し上を見上げるような愛らしい姿と、印象的な深い赤色の瞳が特徴的で、参拝者はこの石像を優しく撫でながら、行方不明になった愛猫が無事に戻ってくることや、大切なペットの病気平癒・健康長寿を祈ります。
石像の足元や台座の周囲には、参拝者がそれぞれの願いを込めて奉納したお賽銭がそっと置かれており、全国の愛猫家たちの切実な祈りと、無事に見つかったことへの温かい感謝の気持ちが今もこの場所に満ち溢れていることを実感させます。
殉国慰霊碑

境内にそびえ立つ殉国慰霊碑は、第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて命を落とされた、当時の砂川における戦没者および戦災死者288柱の霊を慰めるために昭和34年(1959年)に建立されました。
碑文の「殉国慰霊碑」という文字は、陸軍大将・神尾光臣の揮毫によるものです。高さ約7.65メートル、幅2.3メートルに及ぶ仙台石の一枚岩で作られています。
あまりの大きさと重量のため、建立時には米軍横田基地から大型トレーラーやクレーンを借りて運搬・施工されたといわれています。
殉国慰霊碑の扁額がない鳥居

殉国慰霊碑の手前には、石造りの鳥居が立っています。しかし、よく見ると、上の画像のとおり、通常はあるはずの神社の名前などを記した「扁額(へんがく)」が掲げられていません。扁額が置かれる場所(額面)だけがあり、文字は一切刻まれていないのです。
このように扁額が掲げられていない鳥居は、一般の神社でもきわめて珍しいケースです。おそらく戦没者および戦災死者288柱の霊を慰めるための慰霊碑であり、神道の神々とは関係がないため扁額を掲げていないのだと思われます。ただ、なぜ、慰霊碑の手前に鳥居を立てたのかという疑問は残ります、次回の参拝時にはその背景などについて神社に問い合わせてみようと思います。
力士が支える手水鉢

手水舎を支える力士
参道を進んだ先にある手水舎には、他ではあまり見られない非常に印象的な意匠の手水鉢が据えられています。
手水鉢を支える2体の石像
手水鉢の四隅(足元)には、片膝をついて重い石鉢を健気に肩で担ぎ上げている2体の人物像が配されています。
角や牙などの鬼の特徴が見られないことから、力持ちの「力士(力人)」を模したものと考えられます(神仏に奉仕する天邪鬼とする説もあります)。職人の遊び心と高度な技術が伺える、境内屈指のユニークな見どころです。
首元に襟巻のような衣装を纏い、片膝をついて力いっぱいに肩で石鉢を担ぎ上げる姿がリアルかつ愛らしく立体的に表現されています。建造物や重厚な器物を下から支える力強い存在として「力士」を配する技法は、江戸時代以降の石工や職人の高度な遊び心と意匠美を感じさせるものです。
単に手を清める場としてだけでなく、石工のこだわりと愛らしさが同居する、参拝時にぜひじっくりと鑑賞したい境内名所の一つです。
阿豆佐味天神社の御朱印

阿豆佐味天神社の御朱印の初穂料は300円です。「書置きのみ」での頒布となっており、御朱印帳への手書き(直書き)対応はありません。
- 右手上部には「奉拝」と墨書され、中央には存在感のある筆致で「阿豆佐味天神社」と大書されています。
- その中央に重ねて押されている大きな朱印には、篆書体で「立川砂川 阿豆佐味天神社之印」と鮮やかに刻まれています。
- 左側には参拝年月日が墨書されており、その左下にある小さな角印には「阿豆佐味天神社 天神社 蚕影神社」と刻まれ、境内に祀られている主要な神社名がひとつに凝縮されています。
阿豆佐味天神社のお守り
猫返しから安産祈願まで多彩に揃う授与品

授与所のガラスケース内には、それぞれの悩みに寄り添う多彩なお守りが分かりやすく並べられています。主な授与品と初穂料は以下の通りです。
- 猫返し神社 ペットのお守り(800円):迷子猫が無事に戻ることや、愛猫の健康を祈るお守りです。
- 安産守・子授守(各1,000円):立川水天宮のご利益を授かる、優しく華やかな色合いのお守りです。
- 病気平癒御守(桐箱入り:1,500円/通常:1,000円):医薬の神・少彦名命のご神徳が込められています。
- 心身健康守・厄除守(各800円):日々の平穏と健康を祈願する定番の御守です。
- 交通安全守(各1,000円/小:400円):お車用や身につける用など、用途に合わせて選べます。
- こどもおまもり(各800円):ランドセル等に付けやすい可愛らしい紐付きのお守りです。
- 学業成就守・試験合格守(各800円):受験生や学びを深める方に選ばれています。
絵馬:願いを書き込む2種類の特別な絵馬

願い事を託す絵馬は、目的や好みに合わせて選べる2つの種類が用意されています(初穂料はどちらも800円)。
- 猫返し神社 絵馬:愛らしい三毛猫のイラストが描かれた絵馬です。迷子猫の早期発見や、愛猫の健康長寿を祈る言葉が全国から多く寄せられています。
- 願事絵馬:神社の賑やかなお祭りの様子や美しい社殿が色鮮やかに描かれた、風情ある絵馬です。
なお、これらの絵馬は境内に奉納するだけでなく、「持ち帰り」をして自宅で大切に飾ることも可能となっています。
絵馬の願い:愛猫への祈りと新しい命への祝福が満ち溢れる境内
境内の絵馬掛けに並ぶたくさんの絵馬を見つめると、阿豆佐味天神社・立川水天宮への、温かく切実な祈りがぎっしりと綴られていることが分かります。
猫返し神社(三毛猫の絵馬)に寄せられた愛猫への想い
猫返し神社の絵馬には、迷子になってしまった愛猫の帰還を願う声や、病気と闘う愛猫への祈りが主につづられています。
- 「マリーが一日も早く帰って来ますように。元気でいますようにお願いいたします」
- 「クロの病気が良くなりますように。おしっこが出ますように。毎日苦痛なく過ごせますように」
- 「マロの病気が良くなりますように。ごはんが食べれるように。まだまだ長生き出来ますように」
- 「レオン君が健康でありますように」
- 「モナ(モカ)が家に帰ってきて一緒に暮らせますように」
- 「まめのリンパ腫が完治しますように!ごはんをいっぱい食べて長生きしますように!」
- 「大好きだよ。忘れないでいてくれてありがとう。人生で一番幸せな時間でした。来世も大好きだよ」
- 「世界中の猫ちゃんが幸せに暮らせますように」
また、無事に戻ってきたことへの感謝を伝える「おかげさまで無事に20さいを迎えることができました」「ありがとう」というお礼参りの絵馬も多く見られ、神様と愛猫家たちの深い絆が感じられます。
立川水天宮(社殿の絵馬)に寄せられた家族の絆と新しい命への願い
一方、水天宮の願事絵馬には、これから生まれてくる新しい命の無事を願う、家族の温かいメッセージが溢れています。
- 「母子ともに無事に健康に過ごせますように。元気に生まれてきてね」
- 「安産祈願 スルッと産まれますように!!」
- 「無事で元気な子が産まれてきますように」
- 「赤ちゃんが元気で健康に生まれますように。龍輝と仲良しの兄弟になれますように」
- 「無事に健康に生まれてきてね。ママと一緒にがんばろうね」
- 「母子共に健康で元気な赤ちゃんが生まれますように」
- 「何事もなく、健康に家族みんなが過ごせますようにお願いします」
ほかにも、理系大学や高校への「合格祈願」、日々の暮らしを願う「みんながなかよく楽しくながいきできますように」といった祈りも多く掛けられており、人生の様々な局面で人々がこの場所を訪れ、心の拠り所にしていることが強く伝わってきます。
阿豆佐味天神社の祭典・年間行事
- 1月1日:歳旦祭(さいたんさい)
新しい年の始まりを祝う最初の祭礼。年頭にあたり、皇室の弥栄、国の安泰、地域の平和や参拝者の新年の無事息災を祈願します。 - 2月3日頃:節分祭(せつぶんさい)
立春の前日に行われる厄除けの行事。災いをもたらす鬼を払い、福を呼び込むための豆まきが行われ、厄除け祈願の参拝者でにぎわいます。 - 3月:蚕影神社 祭礼(きぬがさじんじゃ さいれい)
境内の蚕影神社(猫返し神社)にて執り行われる祭礼。愛猫の健康や祈願、無事帰宅の感謝などを捧げる参拝者が多く訪れます。 - 9月13日(および直近の週末):例大祭(れいたいさい)
神社で年間を通じて最も重要かつ盛大な大祭。地域をあげて盛大に執り行われ、阿豆佐味天神社御大太鼓の巡行や、境内でのさまざまな神事・奉納行事により大いに盛り上がります。 - 11月15日前後:七五三祝祭(しちごさんいわいさい)
3歳・5歳・7歳を迎えたお子さまの健やかな成長と長寿を感謝し、祈願する行事。境内に華やかな晴れ着姿の家族連れが多く参拝します。 - 12月31日:年越の大祓(としこしのおおはらえ)・除夜祭(じょやさい)
1年間の最後の日に行われるお祓い。日々の暮らしの中で知らず知らずのうちについた罪や穢れを祓い清め、清らかな心身で新年を迎える準備を整えます。
阿豆佐味天神社御太鼓の仕様と特徴

胴径2メートル以上の御太鼓
令和元年の御即位奉祝記念として新調された「阿豆佐味天神社御太鼓」は、胴最大径:六尺七寸(203cm)、総重量約2トンを誇る圧巻の和太鼓です。府中・大國魂神社の「くらやみ祭り」で知られる大太鼓にも匹敵するスケール感を持ち、胴には樹齢約800年におよぶ貴重な唐木の一本胴が使用されています。「奉納 砂川氏子中」の銘が刻まれた重厚な姿とそこから響く深みのある音色は、砂川の歴史と伝統の重みを象徴する境内の大きな見どころの一つです。
規格・仕様(解説板より)

太鼓庫内の御太鼓の解説板
- 名称:阿豆佐味天神社御大太鼓
- 太鼓革面直径:五尺二寸(157cm)
- 胴全長:六尺九寸(209cm)
- 胴最大径:六尺七寸(203cm)
- 太鼓革:和牛革二頭
- 胴原木名:唐木
- 胴樹齢:約八百年
- 曳台本体材質:欅(ケヤキ)
- 重量:約二トン
- 製作:株式会社 浅野太鼓楽器店
- 完成:令和元年九月十三日
太鼓会「一纏(いってん)」による維持管理と定期練習

太鼓会「一纏」の練習風景
この貴重な大太鼓の保管や維持管理は、地元の太鼓会「一纏(いってん)」の皆さんの手によって大切に行われています。
毎年9月13日の例大祭において安全かつ盛大に公道巡行を執り行うため、毎月第二・第四日曜日には太鼓庫からの出庫や曳行(運行)練習が黙々と重ねられています。伝統を確実に未来へと継承していくための熱い想いと日々の努力が、大太鼓の圧倒的な存在感を影で支えています。
太鼓会「一纏(いってん)」による会員募集

一緒に御太鼓を管理する会員を募集
太鼓会「一纏」では、一緒に大きな太鼓を打ったり曳いたりしてお祭りを盛り上げる仲間(会員)を募集しています。
募集対象は、お祭り好きな18歳以上の男女、ご興味のある方は、社務所窓口へ「太鼓会の件で」とお声掛けください。
阿豆佐味天神社・立川水天宮のアクセス方法
- 【所在地】 〒190-0031 東京都立川市砂川町4-1-1
- 【電話番号】 042-536-3215
電車・バスを利用する場合
立川駅(JR中央線・青梅線・南武線)からのアクセス
- 利用交通機関:立川バス
- 乗り場:立川駅北口 ①番バス乗り場
- 行先:「三ツ藤」行、または「箱根ヶ崎駅」行
- 下車バス停:「砂川四番」停留所 下車すぐ
- 乗車時間:約15分
武蔵砂川駅(西武拝島線)からのアクセス
徒歩:約12〜15分
お車を利用する場合
- 五日市街道沿い「砂川四番」交差点近く
- 境内・参拝者用駐車場あり(約32台収容)
公共交通機関を利用する場合は、立川駅北口からのバス利用(「砂川四番」下車)が最もスムーズで利便性が高いルートとなります。
阿豆佐味天神社の駐車場

参拝者専用の駐車場があります
- お車で参拝される方向けに、阿豆佐味天神社・立川水天宮には参拝者用の専用駐車場が用意されています。
- 【収容台数】 約32台
- 【駐車料金】 無料(参拝者専用)
利用時のポイント・注意点
- 混雑時の配慮
参拝者用駐車場の台数には限りがあるため、土日祝日や戌の日(安産祈願)、大安、お祝いシーズン(七五三など)は混雑する傾向があります。満車を避けるため、可能な限り乗り合わせてのお越しが推奨されています。 - 周辺道路の右折進入禁止の時間帯
神社周辺の交差点(五日市街道沿いなど)では、特定時間帯に右折進入禁止となる規制があります。お車でお探しの際は通行ルートにご注意ください。
右折規制時間帯:7:00~9:00 / 17:00~19:00
阿豆佐味天神社 紹介まとめ
阿豆佐味天神社は、創建以来この砂川の地を見守り続けてきた歴史ある神社です。
境内には、猫返し神社として親しまれる「蚕影神社」や、安産・子育の神様を祀る「立川水天宮」をはじめとする豊かな信仰の場が広がっています。また、手水鉢を健気に支える力士の意匠や、霊泉「豊之泉」に佇む犬張子、令和の御代を記念して作られた壮大な御大太鼓など、伝統の歴史と職人の技を感じられる見どころが随所に点在しています。
四季折々の行事や節目のご参拝はもちろん、歴史や境内文化を深掘りする散策の場としても魅力に溢れた阿豆佐味天神社。静かな境内を歩きながら、地域とともに歩んできた歴史の深みに触れてみてはいかがでしょうか。

