【根津神社】都内屈指の神社の歴史や見どころ

根津神社の楼門 東京十社めぐり
根津神社

根津神社(ねづじんじゃ)は、東京都文京区根津にある、東京十社の一つに数えられている由緒・格式が高い神社です。

1900年前に日本武尊が東夷討伐に向かう途中、武神須佐之男命の御神徳に肖る(あやかる)ために千駄木の地に創祀(そうし)したと伝えられている古社です。

縁結び、学業成就、厄除けなど、さまざまなご利益があるとされる根津神社。今回は、そんなパワースポットとして人気の根津神社の魅力を、写真とともにご紹介します。

根津神社も含む「東京十社めぐり」についても紹介しています。

東京十社めぐり|東京の格式高き神社をめぐる旅へ
元准勅祭社である十社をめぐる「東京十社めぐり」を紹介しています。根津神社、神田明神、亀戸天神社、富岡八幡宮、芝大神宮、品川神社、赤坂氷川神社、日枝神社、白山神社、王子神社といった格式が高い神社への巡拝を誘います。

根津神社の由緒・歴史など

根津神社は、日本武尊(やまとたけるのみこと)が1900年近く前に創祀したと伝える古社で、東京十社の一社に数えられています。

日本武尊が東夷討伐に向かう途中、武神須佐之男命の御神徳に肖る(あやかる)ために千駄木の地に総祀(そうし)したと伝えられている古社です。その後、文明年間(1469~87)には太田道灌が社殿を奉建しました。

現在の社殿は宝永3年(1706年)、徳川5代将軍の綱吉が兄の綱重の長男である綱豊を養子に迎えた際に屋敷地を根津神社に献納し神社の大造営が行われた時に建てられたものです。

社殿は権現造(本殿、幣殿、拝殿を構造的に一体に造る)の傑作とされており、本殿をはじめ7棟が国の重要文化財に指定されています。

ツツジの名所として有名であり、境内の「つつじ苑」では見ごろとなる毎年4月下旬に「つつじまつり」が開催されます。このまつりに合わせて「文京つつじ祭り」も開催されています。

文豪の森鴎外が文京区に移住してから住んだ「千朶山房(せんださんぼう)」や「観潮楼(かんちょうろう)」が根津神社の近くにあったことでも知られており、後に夏目漱石も「千朶山房」に住んだことから文豪に因んだ史跡も残されています。

2021年に閉館した旅館「水月ホテル」(台東区池之端)で保管されていた森鷗外の旧邸を根津神社に移築するプロジェクトが進行中であり2026年3月までに移築が完了する予定です。
関連情報:森鴎外『舞姫』執筆の旧邸を後世に ~根津神社への移築プロジェクト~

東京十社巡りのルートとその魅力とは

名前の由来は「ここは国の根、国の津たり」

根津神社の「根津」は地名から来ており、一説によると日本武尊が根津神社を創建した際に「ここは国の根、国の津たり」と言ったからだと伝えられています。
根は尾根の麓、津は港を意味しており、根津は海に突き出した尾根の麓にある港ということになります。港として交通の要衝であったに違いなく、太田道灌が社殿を寄進したというのもこのことと深く関わりがあるようです。日本武尊創建神話を持つ東京の神社が、水運に関わる場所に鎮座しているというのは興味深いです。

ご祭神

根津神社は、3つの主祭神、2つの相殿、5つの神様をお祀りしています。

須佐之男命(スサノオノミコト) 主祭神 防災防疫の神、歌人の神、軍神の神、豊穣の神
大山咋神(オオヤマクイノミコト) 主祭神 山の地主神、農業・醸造の神
誉田別命(ホンダワケノミコト) 主祭神 文武の神
大国主命(オオクニヌシノミコト) 相殿 国造りの神、縁結びの神
菅原道真公(スガワラミチザネ) 相殿 学問の神

ご利益(御神徳)

上記のとおり複数の神様を合祀していることから、幅広いご利益があるといわれています。

  • 厄除け、除災招福
  • 心願成就
  • 家内安全
  • 病気平癒
  • 延命長寿
  • 五穀豊穣
  • 縁結び
  • 安産
  • 学業祈願・合格祈願 など

根津神社の御朱印

根津神社の社務所内

社務所では御朱印、お守り、お札などの授与品を頂けます。

2024年11月30日に参拝し、切り抜きと書置きの御朱印を拝受いたしました。

根津神社の御朱印

根津神社の見どころ

参拝の入り口「表参道」

根津神社の表参道口

社号碑根津神社の上部に「元准勅祭(もとじゅんちょくさい)」の文字が刻まれており、かつては准勅祭社であったことがわかります。

准勅祭社とは、明治元年(1868年)に東京遷都の際に、明治天皇が幣帛(お供え物)を捧げ、東京の鎮護と万民の平安を祈願した神社のことを指します。

根津神社の楼門(重要文化財)

根津神社の楼門

根津神社の楼門は宝永3年(1706年)に建てられた重要文化財です。神社の楼門としては江戸内で唯一残っている非常に貴重なものです。

根津神社の水戸黄門様(徳川光圀公)

根津神社の水戸黄門 徳川光圀

楼門には左右に随身の像が祀られており、向かって右側の像は「水戸黄門」と言われています。
つまり、水戸黄門こと徳川光圀がモデルとなっています。
テレビドラマ「水戸黄門」で主役を務めた東野英治郎の表情に何となく似ているように見えます。

舞殿(神楽殿)

根津神社の神楽殿

楼門と唐門の途中の右手に舞殿(神楽殿)があります。
根津神社のほとんどの建物が丹塗りなのに唯一塗られていません。

この舞殿は、明治時代に建てられたもので、文京区の無形文化財に指定されている社殿神楽「三座ノ舞」などが奉納されます。

唐門(重要文化財)

根津神社の唐門

両端に唐破風(からはふ)がある平唐門(ひらからもん)と呼ばれる独特の形をしています。正面の唐門に対して装飾性は控えめですが、鍍金(メッキ)が施した飾り金物が施されています。

拝殿(重要文化財)

根津神社の拝殿

権現造の建築様式で、本殿と相の間(幣殿)で連結され、一つの屋根でまとめられています。拝殿の前面に唐門があり、左右相称に透塀(すきべい)を出して社殿を取り囲んでいます。

透塀(すきべい):連子 (れんじ) ・透かし彫りなどにして、内部が透けて見える塀のこと。

真ん中の扁額の並びには黄金の獅子の頭が飾られています・

根津神社の拝殿の扁額

願掛けカヤの木(榧木)はパワースポット

根津神社パワースポットの榧木(カヤ)の木

「願掛けカヤの木(榧木)」は、根津神社の社殿前にあり、このカヤの木(榧木)には神使の白蛇が住んでいるとされており、願い事を叶えてくれる、縁結びや願望成就のご利益があるとされています。

カヤの木(榧木)の周囲には絵馬やおみくじが鈴なりになっており、パワースポットとしてとても人気があります。

千本鳥居と乙女稲荷神社

根津神社の千本鳥居

根津神社の千本鳥居は、摂社である乙女稲荷神社の境内にあり、邪気払いスポットとして人気があります。北から南に向かって通り抜けることで邪気や悪厄などが払われると言われています。

「千本」という表現は、数え切れないほどたくさんあるという意味で、実際に千本の鳥居はありません。

願いが叶ったお礼として、新しい鳥居が随時奉納されているため、数が常に変動しています。ですので、訪れるたびに少しずつ様子が変わっていくのも、千本鳥居の魅力の一つといえるでしょう。

根津神社 乙女稲荷神社

根津神社の乙女稲荷神社は、その名の通り女性を応援する神社として知られており、縁結びなどのご利益があるとパワースポットです。

駒込稲荷神社

根津神社の駒込稲荷神社

根津神社の駒込稲荷神社、風の神である「級長津彦命(しなつひこのみこと)」と「級長戸辺命(しなとべのみこと)」がご祭神です。男女一対の神様であることに因んで縁結びのご利益があるパワースポットとして人気があります。

根津神社のお祭り・イベント

つつじまつり(4月)

根津神社 つつじまつり

入苑期間:2024年3月30日(土)~4月30日(火)
開苑時間:9:30~17:30
入苑寄進料:500円(引率ある小学生以下のお子様は無料)
限定御朱印:1つ1,000円で頒布(はんぷ)

根津神社の「つつじまつり」は、境内にある「つつじ苑」で開催されています。約2000坪の庭園内で3000株を数える約100種のつつじを鑑賞することができます。

根津神社のつつじの由来は、将軍になる前の徳川綱重が、弟の甲府藩主綱重の下屋敷だった土地に、ツツジの名所であった上州館林藩からキリシマツツジを移植したことに始まります。

根津神社の「つつじまつり」の詳細は、以下の関連記事でお読みください。

夏越の大祓・茅の輪くぐり(6月)

神事:2024年6月30日(日)
開始時間:17時~
茅の輪(ちのわ):6月17日設置予定、年末分は未定
形代(かたしろ):授与所にて頒布(初穂料は自由)
夏越の大祓いは、毎年6月の晦日に開催され、正月から6月までの半年間の罪穢(つみけがれ)を祓う儀式です。茅の輪(ちのわ)をくぐることで心身を清め、災いを避けることができると言われています。また、根津神社では、年末の師走の大祓いも行われています。

茅の輪(ちのわ):茅草や藁などで作られた大きな輪で、災厄や疫病除けに用いられる祓(はらえ)の具のこと。
形代(かたしろ):大祓の際に使用される紙製の人形で、罪や穢れを移して祓い清めるための祓(はらえ)の具のこと。

かざぐるま祭り(7月)

根津神社 かざぐるま祭り

期間:2024年7月1日~8月31日
願掛けかざぐるま:1つ200円で頒布
限定御朱印:1つ1,000円で頒布
根津神社の「かざぐるま祭り」は、根津神社境内社である駒込稲荷神社の御祭神の「級長津彦命(しなつひこのみこと)」と「級長戸辺命(しなとべのみこと)」が風の神様であることに肖り(あやかり)、風車を飾って風で穢れを祓い、心身を清めて物事の好転を願うお祭りです。

根津神社例大祭(毎年9月中旬)

【例大祭】
例大祭神賑行事:2024年9月14日(土)・15日(日)
例祭式(式典のみ):同9月21日(土)
【奉納園芸】
浦安舞:同9月14日(土)・15日(日)19:00~
三座舞:同9月15日(日)14:00~

根津神社例大祭は、根津神社での最大の行事です。将軍徳川家宣が創立したと言われており、江戸三大祭りの一つとして知られています。

例大祭では、境内神楽殿で三座ノ舞公演や浦安舞などの伝統的な演目が行われます。4年に一度開催される「神幸祭(しんこうさい)」では、徳川家宣が献納した本社神輿を担ぐ神輿渡御(みこしとぎょ)が行われます。

神輿渡御(みこしとぎょ):氏子などが神輿を担ぎ、宮司や神職、氏子総代が神輿を取り囲むように隊列を組み、神霊を慰め悪厄退散を願います。

根津神社 アクセス情報

住所:東京都文京区根津1-28-9
電話番号:03-3822–753
アクセス:
千代田線 根津駅・千駄木駅 徒歩約5分、南北線 東大前駅徒歩約5分
都営三田線 白山駅徒歩約10分

根津神社 駐車場

根津神社に駐車場は2か所あります。

ひとつは境内にご参拝・ご祈祷・婚礼参列者用無料駐車場があります。
車で境内に進入の際は参拝者に注意しながら最徐行で安全運転をお願いします。

もうひとつは北参道側にある有料駐車場。
根津神社北口(信号)すぐの「根津境内24h時間貸駐車場(収容25台)」。
北参道入口の北口鳥居まで10m程度です。

根津神社の駐車場

根津神社 周辺観光スポット

根津神社の周辺には以下のような見どころ観光スポットが多く点在します。

弥生美術館、竹久夢二美術館、上野恩賜公園、不忍池、東京国立博物館、国立西洋美術館など

根津神社 紹介まとめ

根津神社は1900年の歴史を誇る、まさに時代を超えた場所です。春には「つつじまつり」で鮮やかな花々が境内を彩り、秋には紅葉が訪れる人々を魅了します。そして、鮮やかな千本鳥居が連なる風景は一見の価値があります。この特別な神社での訪問は、自然の美しさと歴史的な重みを感じられる貴重な体験となるでしょう。是非一度訪れて、その魅力を自身の目で確かめてください。

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