二宮神社(にのみやじんじゃ)は、あきる野市二宮に鎮座する神社です。
二宮神社は、武蔵総社六所宮である大國魂神社の二之宮に祀られている有力な神社として古くから崇敬を集めてきた神社です。
この記事では、由緒・歴史、ご祭神・ご利益や見どころなどを詳しく解説します。
二宮神社の由緒・歴史など
二宮神社は、武蔵国の二之宮であり、旧社格は郷社、別称「小河神社(おがわじんじゃ)」、古くは「小河大明神」または「二宮大明神」とも称されていました。
二宮神社の創建は不明です。
武蔵総社六所宮である大國魂神社の二之宮に祀られていることから、有力な神社であったことは確かですが、武蔵国六所宮のうち唯一、官社・式内社ではありません。
古記録によると、藤原秀郷(ひでさと)が生まれ故郷の山王二十一社の内の二宮を崇敬していた縁から二宮神社を崇敬するようになり、天慶の乱(てんぎょうのらん)に際して二宮神社において戦勝祈願したと言われています。
※天慶の乱とは:平安時代(931~947年)に平将門(たいらのまさかど)と藤原純友(ふじわらのすみとも)が相次いで起こした反乱の総称、承平・天慶の乱とも呼ばれます。
この乱は、武士が中心となって起きた初めての反乱で、律令国家の崩壊と地方武士の台頭を象徴する出来事であったとされています。
源頼朝、北条氏政も二宮神社を篤く崇敬し、特に北条氏照は滝山城主となって二宮神社を祈願所と指定したそうです。
江戸時代では、天正19年(1591年)、徳川家康から朱印15石を受け、以降、徳川将軍家からも崇敬を受けたとされています。
明治3年(1870年-1871年)、小河神社から現社名の二宮神社に改称しました。
ご祭神・末社

制札にご祭神、由緒、祭日、末社に関する情報の記載
二宮神社の制札には、鎮座地、ご祭神、由緒、祭日と末社が記載されてています。
ご祭神
ご祭神は、国常立尊(くにとこたちのみこと)です。
国常立尊(くにとこたちのみこと)
日本書紀においては初めての神とされ、天地開闢の際に現れた最初の神であり、後世に続く神々の祖です。
神名の「国常立尊」の「国」は「国土」、「常」は「永久」を意味し、「国土が永久に存続すること」への願いが込められており「国土の守護神」として信仰されています。
末社
制札の最後に以下の末社が記載されており、全て境内末社として祀られています。
- 伊勢神社(五社の一社)
- 八幡神社(五社の一社)
- 八雲神社(五社の一社)
- 天津社(五社の一社)
- 稲荷神社(五社の一社)
- 稲荷神社(独立末社)
- 荒波々伎(あらはばき)神社
- 社宮社(おしゃもじ様)
※末社は、本殿を守護し、末社がある地域人々の生活を見守る役割があり、それぞれの末社には特定のご利益があります。人々は願いに応じてそれぞれの末社に参拝します。
ご利益・ご神徳
国常立尊は、国土の安定と繁栄を守護する神様であり、以下のようなご利益をもたらすとされています。
- 国土安寧
- 五穀豊穣
- 家内安全
- 商売繁盛
- 開運招福 など
また、境内には複数の末社にさまざまな神様が祀られており、以下のようなご利益もあるとされています。
- 武運長久
- 厄除け
- 病気平癒
- 縁結び
- 安産祈願
- 交通安全
- 水難除け
- 歯痛平癒
- 健康長寿 など
二宮神社の見どころ
一の鳥居、拝殿・本殿・末社や二の鳥居など、実際に歩いて回った順で紹介します。
一の鳥居

一の鳥居と社号碑「郷社二宮神社」
一の鳥居は、柱・笠木・貫がすべて円柱なので「神明鳥居」という様式です。
社号碑「二宮神社」の上には「郷社」の文字が刻まれています。
「郷社」の社格は、官社の下の諸社の一つであり、格付けとしては各地域の代表的な神社です(諸社の社格は、上から式内社・県社・郷社・村社・無格社)。
境内までの階段

境内まで階段
鳥居をくぐると、46段の階段を上っていきます、勾配角度は30~35度くらいです。
階段が苦手な方は、一の鳥居の北側にある緩やかな女坂を上って境内に入ることができます。

北側の緩やかな坂
手水舎

手水舎は「榊」の木に囲まれています
神聖な木とされている「榊」の木が左右に植えられており、吐水口のそばには榊の枝葉が置かれています。
右側の榊の方が大きく樹齢が長いと考えられます。

手水舎には「心洗」という扁額がある
手水舎の内部の上部には「心洗」という扁額が掛けられています。
手水舎はもともと参拝前の身を清める禊(みそぎ)の場ですが、心もしっかりと洗い、心を整えてから参拝する気持ちにさせられます。
拝殿前の狛犬

阿形の狛犬
いつごろ造られたかは不詳。
上の阿形の狛犬は、歯というよりも牙が多くて大して口が開いていない、噛みつかれたら痛そうな怖い印象です。下の吽形の狛犬の視線は、遠くまで監視している印象です。

吽形の狛犬
拝殿

狛犬と拝殿
造営された時期は不明ですが、本殿に比べると比較的新しく、江戸時代の建築様式を踏襲していると考えられます。
建物の規模は、一之宮の小野神社(東京都多摩市)と同等か少し大きいようです。
二宮神社と小野神社は電車徒歩で一時間少し、小野神社は総社大國魂神社から近いので、一日で3社をまとめて参拝することも可能です。
武蔵国一之宮 小野神社の記事も掲載中です。

本殿

本殿は、拝殿から廊下で繋がっている
現在の本殿は江戸時代の造営によるもので、三間社流造という建築様式です。流造は、神社の本殿としてよく見られる建築様式で、屋根が前方に長く伸びているのが特徴です。
拝殿(左側)と本殿の間には幣殿はなく、屋根付き廊下で繋がっている構造です。
本殿の内部には、高さ190センチ、一間社、見世棚造、板葺目板打ちの宮殿(くうでん)が納められています。この宮殿は、室町時代後期以前の建築と考えられており、あきる野市の有形文化財に指定されています。
五社(合祀社)

五つの神社を合祀する五社
鳥居、石碑、五社です。
五社の右手前にある石碑には、伊勢神宮、八幡神社、八雲神社、天津社、稲荷神社が刻まれており、5社合祀であることを示しています。

5つの神社を合祀している
五社分の扉があり、それぞれの中に御神体が祀られています。

5社分の扉があります
荒波々伎神社(あらはばきじんじゃ)

荒波々伎神社
荒波々伎神社(あらはばき)が祀られている場所は非常に珍しいです。
悪霊や疫病などの悪いものが村に入り込まないように見張る「塞(さえ)の神」、いわゆる道祖神的な神様です。
荒波々伎のハバキ(脛巾)は、修験者や旅人が脛に巻き付ける、足を守るための布のことなので、旅人の安全を守る神様でもあり、また、「製鉄の神」とする説もあることから絵馬掛けのところに鉄製の草鞋も置かれています。
諏訪神社

二宮神社にある諏訪神社
諏訪神社は諏訪大社の流れをくむ神社であり、ご祭神は、建御名方神(たけみなかたのかみ)と八坂刀売神(やさかとめのかみ)です。
建御名方神は水の神・狩猟の神・農耕の神・武運の神、建御名方神は建御名方神の妃神(妻である神)であり、安産の神・縁結びの神として信仰されています。
神輿蔵

御神輿が納められている神輿蔵
「国常立尊(くにとこたちのみこと)」を祀った御神輿が保管されています。
毎年9月9日の秋季例大祭(生姜祭り)が開催される際に使用されます。神輿が一の鳥居から石段を駆け上がり宮入りする勢いと熱気は必見に値します。
二の鳥居、二宮考古館

境内の北側には二の鳥居
境内の北側に二の鳥居があります。
二宮考古館
二の鳥居に隣接すぐそばに「二宮考古館」があります。二宮考古館は、市内で発掘された縄文時代の土器や石器などの生活用具などを展示しています。石器造りなどの体験教室を随時開催しており、子供から大人まで歴史を体感できる施設です。

二の鳥居そばの二宮考古館
- 施設名:二宮考古館(にのみやこうこかん)
- 休館日:月・火曜日・祝日
(火曜日が祝日の場合は水曜日も休館) - 年末年始:12月27日~1月4日
- 入館料:無料
- 電話番号:042-559-8400
- ウェブサイト:https://www.city.akiruno.tokyo.jp/0000001066.html
社務所

社務所
社務所は毎月2~3日のみ開いています。
令和7年2月は、節分祭 2日(日)と16日(日)10時~15時までとなっています。
御朱印等を頂きたい方は上記の日に参拝してみてください。
諸祈祷のお問合わせは、下記の電話番号までとなっています。
042-558-5636
二宮神社の基本情報
【住所】東京都あきる野市二宮2252
【電話番号】042-558-5636
【最寄り駅】JR五日市線「東秋留駅」徒歩5分
【ご祭神】国常立尊(くにとこたちのみこと)
【末社】
・五社(伊勢神社・八幡神社・八雲神社・天津社・稲荷神社)
・稲荷神社
・荒波々伎(あらはばき)神社
・社宮社(おしゃもじ様)
【ご利益】・家内安全
・国土安寧
・五穀豊穣
・家内安全
・商売繁盛
・開運招福 など
二宮神社 アクセス情報
電車の場合、最寄り駅のJR五日市線「東秋留駅」から徒歩5分少しで一の鳥居に到着します。
車の場合、高速利用なら「日の出IC」で下りて約15分で着きます。
専用駐車場

専用駐車場
専用駐車場は非常に小さく、収容台数は2~3台です。
徒歩3分くらいのところに三井のリパークがあります(駐車料金は24時間最大500円)。
二宮神社 紹介まとめ
今回は、あきる野市の二宮神社についてご紹介しました。
二宮神社は、武蔵国の二之宮として歴史が深く、ご祭神は、国常立尊(くにとこたちのみこと)、複数の末社も祀られているので国土安寧、五穀豊穣、家内安全、商売繁盛、開運招福 などさまざまなご利益があると言われています。
創建年代は不詳とされていますが、現在の本殿は江戸時代の造営によるもので、境内には、樹齢数百年の大木や、美しい自然林などもあり、参拝者を癒してくれます。
あきる野市を訪れる際には、ぜひ二宮神社に足を運んでみてください。
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