信州の冬、厳しい寒さが生み出す神秘の絶景「御神渡り(おみわたり)」。凍てついた諏訪湖の氷が轟音と共にせり上がり、湖面を切り裂く一本の道が現れるその姿は、まさに神の仕業としか思えない迫力に満ちています。
2026年、8シーズンぶりの出現に期待が高まる今、御神渡りとは一体何なのか? 本記事では、ライブカメラ情報から発生の仕組み、そして諏訪大社との深い関わりまで、諏訪湖の御神渡りのすべてを徹底解説します。
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御神渡りとは?諏訪大社との関係そのもの
御神渡り(おみわたり)とは、冬の諏訪湖が全面結氷した際、氷の膨張と収縮によって湖面に山脈のような亀裂が生じ、氷が数cmから、時には1m近くまでせり上がる自然現象です。
この現象は、単なる自然界の産物ではなく、古くから「神様が通った道」として崇められてきました。ここには、諏訪大社にまつわる壮大なロマンが隠されています。
湖を渡って会いに行く「神様の恋路」
諏訪大社は、諏訪湖を挟んで南北に分かれて鎮座しています。
- 上社(本宮・前宮):
諏訪湖の南側(諏訪市・茅野市)。男神・建御名方神(たけみなかたのかみ)がいる。 - 下社(秋宮・春宮):
諏訪湖の北側(下諏訪町)。女神・八坂刀売神(やさかとめのかみ)がいる。

南側の上社から北側の下社に通うのに諏訪湖を渡った
画像にある赤い矢印の通り、上社と下社の間には諏訪湖が横たわっています。諏訪湖は最大水深が約7mと非常にため、冬の厳しい冷気が溜まると湖面が急激に冷やされて完全に凍りつき、その上に真っ白な「氷の道」が現れます。
これこそが、「南側の上社にいる男神が、対岸の北側の下社にいる妃の女神に会いに行った足跡」であると伝えられてきました。現在のように道路や橋がなかった時代、湖面を一直線に横切って対岸へと続く氷の隆起は、人々にとって「神様が恋人のもとへ渡られた証」そのものに見えたと伝えられています。
3本の道と神事
御神渡りには、主に3つの筋が現れます。
- 一之御渡り(いちのみわたり):最初に現れる、上社から下社へと向かう筋。
- 二之御渡り(にのみわたり):一之御渡りに並行して現れる筋。
- 佐久之御渡り(さくのみわたり):これらと交差するように、東側の岸(下諏訪町高浜)から現れる筋。
これらが出現すると、八剱神社(やつるぎじんじゃ)の神職が氷の状態を拝観する「御神渡り神事」が行われ、その年の世相や農作物の豊凶が占われます。
諏訪湖のライブカメラ
今年も御神渡りが発生するかが大きく注目されており、2026年も、諏訪湖周辺の自治体やメディアがライブカメラでリアルタイム映像を配信しています。
ここでは、SBC信越放送が配信している、諏訪湖を一望できる以下のライブカメラを紹介します。諏訪湖を一望でき、湖面の状態を確認できます。
下の画像をクリックすると「【LIVE】諏訪湖の「いま」を配信します|ライブ|諏訪湖|御神渡り」というライブカメラ配信に行くことができます。
【注意】 御神渡りが発生していても、氷の上に乗るのは大変危険です。安全な岸辺やライブカメラでの見学を強く推奨します。
御神渡りの仕組み
御神渡りは氷がせり上がる現象です。なぜ氷がせり上がるのでしょうか?そこには「氷の呼吸」とも言える物理現象があります。
- 冷却・収縮:
夜間の急激な冷え込み(マイナス10度前後)により、全面結氷した氷が収縮し、亀裂が入ります。 - 浸入・結氷:
その亀裂に湖水が入り込み、再び凍って隙間を埋めます。 - 膨張・隆起:
日中に気温が上がると氷が膨張します。しかし、隙間が新しい氷で埋まっているため逃げ場がなくなり、氷同士がぶつかり合って「バキバキ」という轟音と共に上方へ押し上げられるのです。
御神渡りはいつ発生・その条件
御神渡りは毎年必ず見られるわけではありません。以下の厳しい条件が揃う必要があります。
- 全面結氷:
湖全体が完全に凍っていること。 - 気温:
最低気温がマイナス10度以下の日が数日続くこと。 - 氷の厚さ:
氷の厚さが10cm程度まで成長すること。 - 気温差:
昼夜の激しい寒暖差があること。
2026年は1月に入り、今シーズン最強の寒波が到来しています。観測を行っている八剱神社の関係者からも、数年ぶりの出現に期待の声が上がっているようです、注目していきましょう!
御神渡りの記録(観測の歴史と発生回数など)
諏訪湖の御神渡りの出現など記録は室町時代から続いており、単なる信仰や観光の対象だけでなく、「世界最古級の気候データ」としての極めて重要な資料と見なされています。なんと、ハーバード大学などの研究機関が「地球温暖化の進行を証明する一級資」として注目しています。
御神渡り 発生の基本統計
室町時代から580年以上にわたり、八剱神社(やつるぎじんじゃ)によって脈々と記録が受け継がれてきました。
- 観測・記録期間:1443(嘉吉3)年から現在まで
- 総出現回数:503回(八剱神社による確認記録)
- 直近の出現:2018年2月
- 近年の傾向:2019年から2025年まで、7シーズン連続で不出現(明けの海)
- 氷の成長:出現時の盛り上がりは10cm程度ですが、その後の低温により数日で20〜30cm、時には1m以上に達することもあります。
近年の発生・不出現記録(2018年以降)
地球温暖化の影響もあり、近年は「明けの海(一度も御神渡りが発生せずに冬が終わること)」が常態化しつつあります。
- 2018年:出現(2月に出現。現時点での最後の記録)
- 2019年〜2024年:不出現(6年連続で「明けの海」)
- 2025年2月:不出現(八剱神社が正式に「明けの海」を宣言。7年連続の不出現)
- 2026年:8シーズンぶりの出現に期待がかかる
歴史的データ・統計的特徴
約600年のデータを見ると、いかに現代の冬が変化しているかが浮き彫りになります。
- 出現回数減少の推移:江戸時代まではほぼ毎年出現していましたが、戦後から2000年にかけて激減しました。
- 21世紀の傾向:2000年以降の約24年間で、出現はわずか6回にとどまっています。
- 最早期・最晩期の記録:
・最早期:12月24日(昭和22年/1947年)
・最晩期:2月11日(昭和50年/1975年)
諏訪湖以外の御神渡り
御神渡り現象は、実は諏訪湖だけではなく、条件が揃えば他の湖でも見ることができます。
- 屈斜路湖(北海道):日本一巨大な御神渡りが見られることで有名。
- 塘路湖(北海道):こちらも見事な氷丘脈が現れます。
- 山中湖(山梨県):富士五湖の中で最も標高が高く、水深が浅いため、数年に一度御神渡りが発生します。富士山を背景にした御神渡りは、諏訪湖とはまた違った絶景となります。
諏訪湖がこれらの湖と決定的に違うのは、諏訪湖には「神話」と「580年以上の古記録」が結びついているという点です。この唯一無二の文化的価値こそが、諏訪湖の御神渡りを世界的に特別なものにしています。
御神渡りと密接な関係の諏訪大社も参拝しよう

諏訪大社 上社 本宮 幣拝殿
諏訪大社は上社・下社の二社四宮からなる日本最古級の神社です。御神渡りが発生すると、下社の神職も立ち会い、神様が渡られたことを確認する儀式が行われます。
たとえ御神渡りが出現しない「明けの海」で氷の道が現れなくても、この地に神様が鎮座されている事実に変わりはありません。御神渡りの有無にかかわらず、ぜひ四社を巡り、信州の自然と共に歩んできた諏訪大社を参拝し、その信仰の歴史に触れてみてください。
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御神渡り観測の拠点に。諏訪湖畔の宿で「奇跡の瞬間」を待つ
御神渡りは、夜明け前の静寂の中で最もその神秘性を増します。氷がせり上がる「バキバキ」という音を聴き、朝日に輝く氷の道をいち早く目にするなら、諏訪湖畔の上諏訪温泉や下諏訪温泉の宿を拠点にするのが理想的です。
湖を一望できる露天風呂で冷えた体を温めながら、翌朝の出現に期待を馳せる。この「現地に泊まる留まるこそ味わえる高揚感」が、参拝の旅をより深いものにしてくれます。各予約サイトの「諏訪湖周辺の絶景宿」から、自分だけの特等席を探してみてください。
この記事のまとめ
2026年、8年ぶりの出現に期待がかかる諏訪湖の御神渡り。それは580年以上の歴史と神話が交差する瞬間です。ライブカメラで状況をチェックしながら、神秘の扉が開くその時を待ちましょう。諏訪を訪れた際は、ぜひ諏訪大社へも足を運んでみてください。


